LIDSCONF(8) | System Manager's Manual | LIDSCONF(8) |
名前¶
lidsconf - Linux Intrusion Detection System 用の設定ツール
書式¶
lidsconf -A [-s subject] -o object [-d] [-t from-to] [-i level]
-j ACTION
lidsconf -D [-s file] [-o file]
lidsconf -Z
lidsconf -U
lidsconf -L [-e]
lidsconf -P
lidsconf -v
lidsconf [-h|H]
説明¶
lidsconf は、Linux Intrusion Detection System (LIDS) の設定ツールである。
LIDS は現在のLinux カーネルを拡張する、カーネルパッチである。LIDS によっ て、重要なファイルや、ディレクトリや、デバイスを保護することができる。 さらにシステム全体に対して、アクセス制限をかけるACL を定義することもで きる。LIDS の詳しい情報に関しては、 http://www.lids.org を参照のこと。
lidsconf はLIDS に対してのアクセス制限情報を設定するために使用される。それに 関する全ての情報は、"/etc/lids/lids.conf" に保存される。
オプション (ACL の)¶
ACL は "Access Control List" の略である。LIDS のACL では、Subject がどの 様にObject に対してアクセス出来るのかを定義している。 Subject は、シ ステム上の、任意のプログラムファイルを指している。Object はファイルや、ディ レクトリや、その他の特別なオプション (MEM デバイス、RAW IO、隠しプロセ ス)を指している。Target は、Sbject のObject に対するアクセスタイプを定義 している。
- ACL の書式は
- [-s subject] [-d|-i TTL] -o object [-t timescale] -j TARGET
- Subject を省略すると、ACL はそのObject に対するデフォルトのアクセスを
- 定義する。
- -s subject
- Subject とは、システム上の"/bin/login" のような、任意のプログラムであ る。
- -o object [portscale]
- Object はファイルや、ディレクトリや、その他の特別なオプション (CAP_SYS_RAWIO, CAP_HIDDEN, CAP_INIT_KILL, など) である。. Object が CAP_NET_BIND_SERVICE の場合には、例えば、"20-299,400-1002" のように、続けてポート番号の範囲を指定する必要がある。
- -d
- これは、DOMAIN 設定用である。これを指定すると、Subject はDomain で定義さ れているObject にのみアクセスが可能になる。このDomain 以外のObject に関する全てのアクセスは、できなくなる。
- -i <inheritance level>
- これで、Subjectの子プロセスに対してのACL の継承を指定する。 inheritance level は、どれぐらいまでACL が影響するのかを表している。継承レベル"-1" は、 無制限の継承を表す。 継承レベル1 は、親プロセスにより発生された、同じプログラムでは無い子プ ロセスがACL を継承するが、子プロセスが発生した子プロセス(すなわち、オ リジナルのプロセスから見た孫プロセス)には、ACL は継承されないというこ とを表している。 継承レベルは、親プロセスとは異なるプログラムの、子プロセスにのみ有効に なる。もし子プロセスが親プロセスと同じ場合には、親プロセスと完全に 同じ権限が与えられる。
- -t タイムスケール
- これは、ACL に対する時間制限である。この制限は、Subject 付きのACL に のみ、作用する。時間制限とは、ACL が有効になる時間帯である。タイム スケールの書式は、"hourminute-hourminute" になる。例えば、"0905-1021" は、 "9 時5 分から、10 時21 分まで" となる。
- -j Target
- Target には、通常のファイルアクセスACL に対してREAD, APPEND, WRITE, あ るいは IGNORE が設定できる。特殊なObject に対しては、Target はGRANT だけが設定できる。
使用可能な権限¶
LIDS で使われる権限には、下記のものがある。封印して切替えをすると きに、権限を有効や無効にするために名前を使用することができる。 さらに、権限がシステム全体で無効になっているときでも、プログラムに権限 を与えることができる。
- CAP_CHOWN
- chown(2)/chgrp(2)
- CAP_DAC_OVERRIDE
- DAC access.
- CAP_DAC_READ_SEARCH
- DAC read.
- CAP_FOWNER
- ユーザーID とオーナーID が等しくない
- CAP_FSETID
- 実行ユーザーID とオーナーID が等しくない
- CAP_KILL
- 実/有効ID とプロセスID が等しくない
- CAP_SETGID
- setgid(2)
- CAP_SETUID
- set*uid(2)
- CAP_SETPCAP
- 転送権限
- CAP_LINUX_IMMUTABLE
- 不変か、付け加えられるファイル特性
- CAP_NET_BIND_SERVICE
- 1024 未満のポートへのバインディング
- CAP_NET_BROADCAST
- マルチキャストのブロードキャスト/リスニング
- CAP_NET_ADMIN
- インターフェース/ファイアーウォール/ルーティング 変更
- CAP_NET_RAW
- RAW ソケット(ping)
- CAP_IPC_LOCK
- 共有メモリーセグメントのロック
- CAP_IPC_OWNER
- IPC 所有者のチェック
- CAP_SYS_MODULE
- カーネルモジュールの挿入と削除
- CAP_SYS_RAWIO
- ioperm(2)/iopl(2) アクセス
- CAP_SYS_CHROOT
- chroot(2)
- CAP_SYS_PTRACE
- ptrace(2)
- CAP_SYS_PACCT
- プロセスアカウンティングの設定
- CAP_SYS_ADMIN
- 管理者の重み
- CAP_SYS_BOOT
- reboot(2)
- CAP_SYS_NICE
- nice(2)
- CAP_SYS_RESOURCE
- リソース制限の設定
- CAP_SYS_TIME
- システム時間の設定
- CAP_SYS_TTY_CONFIG
- TTY 設定
- CAP_MKNOD
- mknod() の特別な許可
- CAP_LEASE
- ファイルにリースを許可
- CAP_HIDDEN
- システムからプログラムを隠す
- CAP_KILL_PROTECTED
- プロセスに、保護されているプロセスをkill させることを許可/不許可
- CAP_PROTECTED
- シグナルからプロセスを保護
例¶
以下に、いくつかのlidsconf を使った例を示す。これらは簡単/平易なも のから、複雑/難解なものまである。 実際のファイル名はもっと具体的な ものが使われることに注意すること。 実際のシステム に合わせてファイル/ディレクトリを置き換えること。
- lidsconf -A -o /sbin -j READ
- このACL は、/sbin ディレクトリを読込み専用に保護する。
- lidsconf -A -o /var/log/message -j APPEND
- /var/log/messages を付加専用にする。
- lidsconf -A -o /sbin/test -j IGNORE
- /sbin を読込専用で保護するが、/sbin/test は保護しない。
- lidsconf -A -o /etc/passwd -j DENY
- /etc/passwd を全てのユーザーから隠す。ファイルを見るようなこと (open, stat, など)は、できなくなる。
- lidsconf -A -s /bin/login -o /etc/passwd -j READ
- /bin/login プログラムに、先ほどの設定で隠しファイルにされている /etc/passwd を読み込むことを許可する。 この場合、/bin/login のみが/etc/passwd を読むことができる。その他の プログラムやユーザーは、そのファイル(/etc/passwd) を見ることはできない。
- lidsconf -A -o /home/httpd -j DENY
- lidsconf -A -s /usr/sbin/httpd -o /home/httpd -j READ
- lidsconf -A -s /usr/sbin/httpd -o CAP_NET_BIND_SERVICE 80 -i -1 -j GRANT
- Web サーバーのServerROOT (/home/httpd) をDENY で保護し、httpd バ イナリー(/usr/sbin/httpd) のみがServerROOT (/home/httpd) を読み込む ことを許可して、さらにhttpd がポート番号80 番にのみバインドできるよう にすることを許可する。
- lidsconf -A -s /bin/program -i 2 -o CAP_NET_ADMIN -j GRANT
- /bin/program にCAP_NET_ADMIN の権限を与え、継承レベルを2 に設定してい る。
- lidsconf -A -s /usr/X11/bin/XF86_SVGA -o CAP_SYS_RAWIO -j GRANT
- XF86_SVGA にCAP_SYS_RAWIO の権限を、CAP_SYS_RAWIO が/etc/lids/lids.cap で無効になっているときにも、与える。
- lidsconf -A -s /usr/sbin/httpd -d -o /home/httpd -j READ
- httpd の実行ドメインを/home/httpd として定義している。/home/httpd 以外か らの、どのようなオペレーションも、httpd が動いているときには許可しない。
- lidsconf -A -s /bin/login -o /etc/shadow -t 0900:1800 -j READ
- /bin/login に/etc/shadow ファイルを、09:00 から18:00 の間だけ読み込ま せることを許可する。これにより、ユーザーのログインを、この時間だけに 制限することができる。
- lidsconf -A -s /usr/sbin/sshd -o CAP_NET_BIND_SERVICE 10-22,300-1020 -j GRANT
- /usr/sbin/sshd がポート番号10 から22 までと、300 から1020 までバイン ドすることができるように定義している。このケースでは、ssh はこの番号 の範囲のみでしかバインドできない。
その他の情報源¶
- メーリングリスト
- 参加、退会するときには、次のサイトを参照-
http://lists.sourceforge.net/lists/listinfo/lids-user
メッセ-ジをメーリングリストに投稿するときは、メールを次のところまで送信 してほしい- lids-user@lists.sourceforge.net
最新のLIDS メーリングリストのアーカイブは、次のところにある- http://www.geocrawler.com/redir-sf.php3?list=lids-user
古いアーカイブは、次のところにある- http://groups.yahoo.com/group/lids - LIDS FAQ
- LIDS FAQ
は次のところにある-
http://www.lids.org/lids-faq/lids-faq.html
あるいは、
http://www.roedie.nl/lids-faq
バグ¶
LIDS に関するバグは、Xie やPhil に送るか、あるいはメーリングリスト (lids-user@lists.sourceforge.net) に送ってほしい。 カーネルをコンパイルするときに使った、.config ファイルと、/etc/lids に あるlids.conf とlids.cap ファイルを一緒に送ること。また、このマ ニュアルページでエラーを見付けたら、Sander Klein まで知らせて欲しい。
ファイル¶
/etc/lids/lids.conf - LIDS
設定ファイル
/etc/lids/lids.cap -
全体の権限の定義
/etc/lids/lids.net - e-mail
アラートの設定
/etc/lids/lids.pw -
暗号化されたLIDS
パスワード
関連項目¶
AUTHORS¶
Huagang Xie <xie@lids.org>
Philippe Biondi <biondi@cartel-securite.fr>
マニュアルページは、Sander Klein によって書かれた。 <roedie@roedie.nl>
配布¶
LIDS の最新のバージョンは、 http://www.lids.org/ か、ミラーからダウンロードできる。
LIDS その他の注意点は、lidsadm (8) のマニュアルを参照のこと。